そば屋の話

家でよく出前を頼んでいた近所のそば屋が店じまいした。

小田急線の駅に連なる小さな商店街にあるごくありふれた街のそば屋だった。

わが家は店屋物をとるのが好きだ。それもチェーンの宅配寿司とか宅配ピザとかよりも、近所の昔ながらのそば屋とか寿司屋に頼むのが好きである。特に味が極上と言うわけでもないが、それでもお店で食べる器でもって、自宅にいながら周囲に気を使う必要もなく気楽に食べるというのはなかなかいいものだと思う。出前にはお店に食べにいくのとは違う良さがある。近所のなじみの味に安心したりもする。配達してもらう時にする店のおじさんとのちょっとした会話もいいものだ。

閉店したそば屋は老齢で誰も仕事を継ぐ人がいないのだという。以前はこの商店街だけでも他に2軒のそば屋があってどこもそれなりに客が入っていたのだが、いつの間にか消えてしまった。そしてこのそば屋の閉店で商店街からそば屋はついに一軒もなくなってしまったのである。近くにも別のそば屋はないので、結局わが家で出前してもらえるそば屋はなくなってしまった。

今のご時世、そば屋は人気ないのだろうか。

宅配ピザのチラシはポストにあんなにしょっちゅうはいっているというのに。