オリンピック、大気汚染、黄砂・・・中国の変貌

男子マラソンの世界記録保持者であるエチオピアの選手が北京オリンピックでのマラソン競技に出場しないことを正式に表明したと言う。

「中国の汚染は自分の健康にとっては脅威。現在の状況では42キロを走るのは難しい」のだと言う。

メダルを狙える有力選手で、北京の大気汚染を理由に欠場を決断したのはその選手が初めてだそうだ。

オリンピックという晴れ舞台のことを考えれば、これはよほどのことである。

だが北京の実状を思えば、案の定というか当然の結論なのかもしれない。

その言葉どおり北京の大気汚染を理由にオリンピック出場を止めるのなら、それはよくわかるというものだ。北京には仕事で何度か出かけ、いずれも二週間に満たない滞在だったのだが、あの都市の空気の悪さは想像を絶するものがある。

北京の晴れた日。

晴れているはずなのにひどい霞で重苦しさが漂う。要するに濃いスモッグだ。太陽がスモッグの中にボワ~ンと鈍く光を見せている。まともに太陽を拝めない。雨が降る。するとその後半日くらいは空気が雨にあわられて急に見晴らしが良くなる。だがその後はまた濃いスモッグに覆われる。それの繰り返しである。

北京は面白そうな場所がたくさんあり、出来れば長居してあちこち行きたいのだが、あの空気の悪さがいつもひっかかる。住んでいる人も大勢いるのだから大丈夫という見方もあるかもしれないが、あの汚染は確実に現地の人々の健康を蝕んでいるはずだ。

今や汚染物質が混じると言われる黄砂にしても同じ。

昔は黄砂と言えば、砂は悩ましいもののシルクロードにつながる大陸のロマンを感じさせるものだったが、もうそんな悠長な時代はどこかへ行ってしまった。

高橋尚子サン・・・長い目で見れば良かったのかもしれない。

逆に出場権を得た選手こそ大丈夫なんだろうか。これから現地の様子を視察する世界の有力選手の多くがあの空気の悪さに仰天して出場辞退という可能性だってありうるだろう。

※写真は天安門近くにある国際飯店の客室から見た朝の北京市街(2004年2月)

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